現在日本で、高血圧の人やその予備軍の人は800万人を超えたと言われています。50歳代では半数以上が、70歳以上では約7割が高血圧だと推計されています。
血圧が高い状態が長く続くと、血管がダメージを受けて心臓や脳などの重要な臓器にも影響が及びます。
これらの臓器を守るためには血圧を上手くコントロールすることが重要です。

基本は減塩や食生活の改善、運動、ストレスを溜めずに上手に発散することや休養、睡眠などの生活習慣の改善ですが、時には薬の力を借りることが必要になることもあります。

高血圧とはどのような病なのか

高血圧は、血圧が高い状態が長く続くことです。血圧は一日の中でも絶えず変動しています。
好みのタイプの異性と話している時は興奮して上がるし、上司に叱られている時や部下安定していることが多いです。
逆にリラックスしている時や寛いでいる時は、安定していることが多いです。

一般的には、収縮期血圧(上の血圧)が140~159mmHgまたは拡張期血圧(下の血圧)が90~99mmHgの場合をⅠ度高血圧と呼んでいます。
上の血圧が160~179mmHgまたは下の血圧が100~109mmHgの場合をⅡ度高血圧、上の血圧が180以上または下の血圧が110以上をⅢ度高血圧とされています。

高血圧自体は特に自覚症状はありませんが、怖いのは高血圧の状態が長く続くと心筋梗塞や脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、腎不全などを引き起こす一因となることです。
それゆえに高血圧は、サイレントキラーなどと呼ばれています。

Ⅲ度高血圧の人は、脳出血や脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中を発症するリスクが、血圧が高くない人の約8倍にもなります。
心筋梗塞などの循環器疾患で死亡するリスクは、上の血圧が120mmHg未満の人の約5倍です。
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があります。
本態性高血圧は特に血圧が高くなる原因のない高血圧で、生活習慣病の一つだと考えられています。二次性高血圧は血圧が高くなる原因疾患のある高血圧です。

現在の日本人の場合、約90~95%が本態性高血圧だと考えられています。本態性高血圧になる原因として、10の項目を上げる医師が多いです。
塩分の多い食事、喫煙、飲酒、運動不足、ストレス、睡眠不足、肥満、老化現象、遺伝、閉経があげられています。

これらのうち、老化現象や遺伝や閉経は自分自身ではどうしようもないことですが、自分自身の努力次第では改善できるものもあります。
高血圧だと言われたら、まずはできることから改善していくのが基本です。

特にタバコは、たったの1本吸うだけでも上の血圧が20mmHgほど上昇します。
そして吸う前に下がるのに約15分はかかると言われています。
タバコはいくら他のことを頑張っても、たった一本のタバコですべての努力が水の泡になってしまう、すごろくで言うとたちまちにしてスタート地点に戻ってしまうと考えるのが妥当です。

生活習慣の改善か?降圧薬の治療か?

生活習慣の改善では、減塩が指導されます。
日本人の1日の塩分摂取量は現在、男性は11.0gで女性は9.2gとなっていますが、厚生労働省では1日の塩分摂取量を健康な人なら男性は8.0g、女性は7.0g未満に抑えるようにと推奨しています。

塩分を4gほど減らせば、上の血圧が5~10mmHgほど下がることが判っています。
肥満のある人は、減塩の効果が出やすく、さらに下がることもあります。

ラーメンやうどんの汁には5gほどの塩分が含まれているので、汁を全部飲み干すのは止めて味見程度にするだけでもかなりの減塩です。
また、醤油をかけ醤油ではなく付け醤油やスプレーにするなども上手な減塩方法になります。
そして、塩味や醤油味や味噌味だけではなく、酢やレモンやゆずなどの酸味を使ったり、練りゴマや辛子、ワサビなどの塩分の少ない調味料を活用するなどが大切です。

運動は肥満の解消になり、肥満が高血圧の解消にもなります。体重を3㎏減らすと血圧は5mmHgほど下がります。
また、毎日ウオーキングなどの運動をした場合の血圧の下がり具合は、5~20mmHgと大きいです。
ただし、競争系の運動は逆効果のケースもあります。
負けず嫌いな人は競争心がむき出しになってしまい、興奮して却って血圧が上がることもあるので、マイペースでできるウオーキングなどがお勧めです。

睡眠を十分に取ることも重要です。
人の血圧は刻一刻と変動してますが、寝ている時は低くなり活動している時は高くなる傾向があります。
睡眠時間が短くて活動している時間が長いと、血圧が下がっている時間が短くなってしまいます。

忙しくてまとまった休憩時間が取れない時は、たとえ5分ずつでもかまわないので小刻みに休憩時間を取るようにしましょう。

ストレスも血圧を上げる原因になります。腹が立つことがあって怒った後やイライラしている時は、誰でも上がります。
嫌なことを忘れることができる趣味、楽しめる趣味や気晴らしの方法を持つことが大切です。

これらの生活改善や食事の改善を行っても血圧が下がらない場合や、既にⅢ度の高血圧になっている場合は、薬の力を借りることも必要になります。
降圧薬を飲んでいる人は沢山います。高血圧の人の3人に1人は2種類以上の降圧薬を飲んで血圧をコントロールしています。
高血圧を放置していたのでは、血管がダメージを受け続けます。
降圧薬は医師の指示に従って服用する限りでは、重篤な副作用はない安全性の高い薬です。

4種類の第一選択薬

現在、高血圧の治療の際に第一選択薬として使われているのは次の4種類です。
カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬の4つとなっています。

それぞれに5~10種類前後の商品があるので、降圧薬は全部で40以上の商品があることになります。
この中から、主治医の先生があなたに一番適したものを選んでくれるでしょう。

カルシウム拮抗薬は、血管を広げて降圧するタイプの薬です。
ACE阻害薬やARBは、血圧を上げる原因となっているアンジオテンシンやそれを受け取る受容体をブロックして、降圧するタイプです。
利尿薬は、ナトリウムを出来るだけ早く尿と共に体外に排泄して、降圧するタイプの薬になります。

本態性高血圧の場合は、これらが第一選択薬になっています。
まずは、この中から1種類の降圧薬を服用してみます。降圧薬は、服用したからと言ってすぐに効果が出ません。
通常は2週間くらいして効果が出てくるので、それ以降に診察を受けて効果や副作用の症状が出ていないか等のチェックをします。

朝と夜の1日2回、血圧を測定して記録して担当医に見せると、降圧薬の効果やどのようなタイプの高血圧なのかなどがよく判ります。
朝は起きて排尿を済ませてから朝食を食べる前に測定し、夜は寝る前に測定すると良いでしょう。
但し、入浴後は避けてください。

1剤で効果がない時や効果が不充分な時は、別の薬剤に変更したり少量ずつ2剤を飲んだり、降圧薬を増量します。
もう1種類飲むのは重症のように感じる人もいるでしょう。
しかし2種類にするのは、副作用を分散するということにもなります。

降圧薬はそれほど重篤な副作用はありませんが、中には頭痛や立ちくらみを感じる人もいます。
これは血管が開くことや血圧が急に下がることで起きるのですが、同じ種類のものを増量するよりも違う種類のものを少しずつ服用する方が、これらを回避できることが多いです。

現在使われている降圧薬の大半は、1日1回の服用で済むタイプです。
飲み忘れることが少ないということが、大きなメリットになっています。

カルシウム拮抗薬の中には、グレープフルーツとの相性が悪いものがあります。
グレープフルーツやグレープフルーツジュースを服用前後に食べたり飲んだりしないように気をつけてください。

約8割の人はずっと降圧薬を飲み続けますが、2割の人は血圧が安定したために、少しずつ降圧薬の量を減らしていって、降圧薬を飲まなくても大丈夫になっています。
ただし、自己判断での減薬や中止は厳禁です。

生活習慣の改善と降圧薬を適時上手に使うことで血管のダメージを防ぎ、あなたの大切な臓器を守ってあげましょう。